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第12回 南のシナリオ大賞

更新日:3月18日

 

第12回 南のシナリオ大賞 結果発表


第12回南のシナリオ大賞 結果発表
第12回南のシナリオ大賞 結果発表

 

南のシナリオ大賞


  • 「言霊のエール」大杉 誠志郎(長崎県)


 

優秀賞


  • 「僕と彼と、とある物語」土屋 祥子(東京都)

  • 「午後四時五十八分の悲劇」山下 蛙太郎(福岡県)


一次選考通過作品


一次選考通過作作品(朱色は二次審査通過作品)

応募総数

主催

選考会

第12回最終選考ドキュメント

第12回二次審査通過作品

第12回一次審査通過作品


 

大賞 「言霊のエール」 大杉 誠志郎


大賞 「言霊のエール」 大杉誠志郎 (長崎県)
大賞 「言霊のエール」 大杉誠志郎

受賞者のことば

大杉 誠志郎 (長崎県)


この度は、『言霊のエール』を大賞に選んでくださりありがとうございます。


この作品は、TVで観たニュースがモチーフになっています。今年夏、ロシアで行われたサッカーW杯の日本対コロンビア戦。その試合後に、あるコロンビア人男性が日本人サポータの女性に卑猥な言葉を言わせた上、その映像をネットに拡散したというアノ事件です。女性は男性に教えられたスペイン語で「(私は売春婦だ)」とカメラに向かって言っていたそうな。


映像の笑顔から推し量るに、彼女たちはそれが温もりを帯びた言葉だと信じているようで、また、その言葉を介して男性と心通わせようとしているようでもあり……。


その言葉の本当の意味を知るまで彼女たちがどう過ごしていたのか、つい想像してしまいます。多忙な日常の中、ホッと一息がてら箱から取り出すみたいに「(私は売春婦だ)」を思い返し、癒され、残業を何とかこなすだけの活力に変えてゆく……そのちょっとが経済をちょっと動かし、ちょっと地球を動かしていく……。皮肉にも卑猥な言葉によって動かされてしまったその切ない『ちょっと』を形にしようと思いました。


「言霊のエール」 あらすじ


中学生の理子(15)は、ペーロン大会の出場権を留学生のリ(15)に奪われる。理子はその腹いせに、リに元気の出る言葉と偽って「私は、トンチンカンです」という言葉を教える。その本当の意味も知らず、リはその語感の心地よさに浸る。


ある時、リは体育倉庫に閉じ込められてしまう。猛暑で意識が薄れていく中、リは「トンチンカン」を繰り返し呟き自らを励ました。後でそのことを知った理子は、救急車で運ばれていくリに謝罪する。あれは実は侮辱的な言葉なのだ、と言いかけた時、リから思いがけない言葉が返ってくる。

 

優秀賞 「僕と彼と、とある物語」 土屋 祥子


優秀賞 「僕と彼と、とある物語」 土屋祥子(東京都)
優秀賞 「僕と彼と、とある物語」 土屋祥子

賞者のことば

土屋 祥子 (東京都)


この度は南のシナリオ大賞の優秀賞に選んでいただき、ありがとうございました。とても嬉しいです。


今まで九州には一度しか行ったことがありません。そのときも実は福岡は素通りでした。今回は表彰式にかこつけて、博多ラーメンを食べたり、明太子を食べたり、大宰府天満宮に御朱印をいただきに行ったりしたいと思います。


福岡と素敵なご縁で結んでいただいたことに、心から感謝しています。本当にありがとうございました。




「僕と彼と、とある物語」 あらすじ


ナイーブで傷つきやすい探偵は、仕事をする気を失っていた。ピアノのドレミファソラシドは完璧な調和をつくることがどうしてもできず、歪みをすべての音に振り分けて作られたと語る。


助手は、ピアノをめぐって中学生時代に起こった、ささいな事件の話をする。三人の男女が起こす、恋と友情と嫉妬の物語だったが、探偵は、その物語に全く違う側面もあると語り、それは卑劣な男と計算高い二人の女の物語だと言う。


ドレミファソラシドと同じように、人は歪みを少なからずもって生まれてきて、完璧に美しい世界を作り出すことはどうやってもできない、と話す探偵。助手は、歪みをもった音からでも美しいメロディがうまれることもある、と話し、やっぱりそれは恋と友情の美しい物語であったのではないかと言う。助手の弾く美しいピアノのメロディを聴き、少しだけ やる気を取り戻す探偵であった。


 

優秀賞 「午後四時五十八分の悲劇」 山下 蛙太郎



優秀賞 「午後四時五十八分の悲劇」山下 蛙太郎さん
優秀賞 「午後四時五十八分の悲劇」山下 蛙太郎

受賞者のことば

山下 蛙太郎 (福岡県)


登録がない電話番号からの着信でしたので、出るか出ないか、迷った末に出ますと、相手の方が名乗られたお名前を聞いて、いきなり勘違いしてしまい。「ああああーっ」小学校時代の同級生だった友達の名前を叫びながら「タツノスケ君!いやあああああ。久しぶりやね。元気にしとった?」と問いかけてしまいました。


もう何十年も会っとらん。どこで電話番号わかったんやろう。なんかあったとかいな。怪訝に思っていると、それ以上に相手の方も大いに怪訝に思っていたのです。


「タツノスケって誰?」


それは受賞を知らせてくれた日本放送作家協会九州支部の先生からの電話だったのです。スマホを手にしたまま、シドロモドロになってお礼の言葉を伝えました。受賞は予期していなかったので、とてもうれしかったのですが、その日から時間がたつにつれて、先生に「タツノスケ君」と、力いっぱいでかい声で呼びかけてしまったことが、とても恥ずかしい今日このごろです。


「午後四時五十八分の悲劇」 あらすじ


妻の旅行中。勘一が新品のパソコンを使っていると、「ウイルスに感染」と警告が出て動かなくなる。午後4時58分、勘一は、携帯電話で購入先のカスタマーセンターに連絡をするが「回線混雑のためお掛け直しください」との案内が流れ切れる。掛け直すと今度は「営業時間が終了した」と切れる。勘一は、翌日朝から、電話するが、混雑で繋がらず、夕方にやっと繋がったものの今度は携帯の電源が切れる。固定電話を解約していたため、公園の公衆電話に向かう。到着は午後4時58分。焦る寛一は、小銭を落とし、拾って立ち上がる際に頭部を強打して流血しながら電話するが、無情にも「営業時間終了」のメッセージ。激怒した勘一が、受話器を叩きつけていると、巡視中の警官に咎められる。勘一は、警官を突き倒して帰宅。玄関先で倒れる。旅行から戻っていた妻から「誰にやられたのか」と問われ「ウイルスにやられた」と答えるのだった。

 

総評


今回で12回を数える南のシナリオ大賞。丁度200通の応募でした。誠にありがとうございました。


5月頃に雑誌、ホームページに募集の告知を出して、皆様のシナリオが届くのを待っています。告知を出した後、ふと、不安感に襲われることがあります。もしも……もしも……一通も応募なかったらどうしょう? そんな不安感です。そして、同時にそんなことはないと打ち消します。締め切りの8月末になると、どっとシナリオが届きます。皆さん、忘れてなかったんだと。ほっとした気分になります。


その後、放送作家九州支部会員を総動員して、1次審査、2次審査、最終審査へと進み、大賞、優秀賞を選んで行きます。


今回は、大賞に大杉誠志郎さん作「言霊のエール」。優秀賞に土屋祥子さん作「僕と彼と、とある物語」。山下蛙太郎さん作「午後4時58分の悲劇」。の3作が選ばれました。


大賞の「言霊のエール」は、長崎のペーロン大会を舞台とした中学生と中国からの留学生の友情物語です。読んだ後にさわやかな感覚が残りました。優秀賞の「僕と彼と、とある物語」は、登場人物は2人だけ。ピアノをめぐっての恋と友情の物語。独特のセリフ回しが最後まで引き付けます。もう一つの優秀賞「「午後四時五十八分の悲劇」。日常で起こる、クレーム対応。人が電話口にでるまでの時間が掛かります。その状況をおもしろおかしく描いています。この3作は、どれが大賞でもおかしくない作品です。


では、来年もたくさんの作品や、別世界に連れていってくれる作品に出会えることを願ってやみません。


日本放送作家協会九州支部

審査委員 盛多直隆


 

第12回 南のシナリオ大賞 表彰式

 
  • 日時:11月24日(日)15:00~16:40

  • 場所:アクロス福岡(福岡市中央区天神)


第12回南のシナリオ大賞 表彰式 記念撮影
第12回南のシナリオ大賞 表彰式
 

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